<ふとっちょディディのお話―食堂の幽霊―>


ディディは食べるのが大好きな男の子。
寮では人一倍食べるので陰では「ふとっちょディディ」と呼ばれていました。
いつもにこにこ食べているディディ。
彼はとっても幸せそうでした。

ある日のこと。

ディディが食堂で倒れて動かなくなっていました。
大好きなミートローフを口に含んだまま、苦悶の表情を浮かべながら。

<魅惑のセリルのお話―女性トイレの幽霊―>


セリルは人一倍魅力的な女の子。
スレンダーな四肢、豊満な胸と整った顔立ち。
ふわりと揺れるウェーブがかった金髪に誰もが立ちどまり魅入ってしまいます。

少しだけ困ったことに
彼女はその自分の容姿をとてもよく理解していたため
たくさんの男の子を誘惑し、秘密の部屋で誰にも言えないような
みだらな行為にふけっていたのです。
また、鏡が大好きで、よくトイレの鏡で身だしなみを整えていたといいます。

ある日のこと。

いつも使っていた鏡のあるトイレの個室奥で
セリルは事切れていました。
自慢の体をずたずたに切り裂かれて、血にまみれながら。

<なまけものモーシェのお話―学生寮の幽霊―>


モーシェは大変な怠け者でした。
授業も出ません。
自分で食べるための作物もつくりません。

日がな一日部屋の中で、ひたすら眠るだけの、なまけものでした。

ある日のこと。

彼が自分のベッドの上で、息を引き取っているのが見つかりました。
けれど、彼は怠け者だったので、誰ひとりその事実に気づきませんでした。
見つかったのは、腐敗臭の充満した一週間後の朝。
一人きり、ただ朽ちていった魂はいったいどこへ行くのでしょう?

<怒りんぼマトのお話―校庭、桜の木の幽霊―>


マトはいつもいつも怒ってばかり。
人にも、動物にも、ただの机にすら、怒りをぶちまけては
怒鳴り散らしたり、叩き壊そうとしたりしていました。
みんな彼を怖がって近づこうとしませんでした。

ある日。

少し前に足をぶつけたという理由だけで切り倒そうとした木に、
切り倒すために用意したと思われる斧で打ちつけられて
彼はこと切れていました。
真っ赤に染まった桜の木。
彼がいなくなったというのに、誰も涙を流さなかったのを
責められる人は、いるのでしょうか…。

<嘆きのミリア―音楽室の幽霊―>


ミリアはとてもかわいそうな子でした。
奥手な彼女の友達は、大好きなピアノ。
音楽室からあふれるピアノの音は、とてもきれいで誰もが足を止めるほどでした。
そんな音色に誘われて、一人の男の子が音楽室に入ってきました。
それは、ミリアが大好きだった男の子。

ミリアは決心しました。
そして、ずっとずっと好きだった男の子に告白をして、付き合うことになったというのに、その男の子は、別の女の子を好きになってしまったというのです。

それでもあきらめきれず、彼女は「それでもいい」といい
付き合うことをやめようとはしませんでした。

ある日。

付き合っていた男の子の行方が分からなくなりました。
ミリアは大きな目に涙を浮かべて泣き暮らしました。
その日からピアノは鳴らなくなり、彼女もまた、彼を失った悲しみからか、屋上から飛び降りてしまったのです。

<天才アリスのお話―学園の幽霊―>


この学園の創設者であるアリスと同じ名前を持った少女がいました。
彼女はその名前からたくさんの人に畏怖の目を向けられていました。


けれどアリスはとても美しく、聡明で、すべての物事に秀でていました。
「まさにアリスが地上に降り立った姿!」…と、いうものが現れました。

アリスはたくさんの大人に祭り上げられ、いずれは次期理事長。
いや、国を統治する国王になってほしい…そんなことまで言われまていました。

ある日。

アリスは女神像の下敷きになり、つぶされていました。
像は黙して語らず。真相は闇の中に葬られ、大人たちは何もなかったかのようにふるまったのです。

<リーダージーマのお話―教室の幽霊―>


ジーマはとっても積極的で、人を仕切るのが上手な男の子。
いつか政治家になりたいと勉強もたくさんしていましたし、運動だってできました。
女の子からはいつも黄色い声援を受ける男の子でした。

ある日。

ジーマの行方がわからなくなりました。
みんなで探しましたが、誰も彼を見つけることはできませんでした。
数週間たったある日、彼は教室で首をつってこと切れていました。
日直の子が泣き叫び、教室は阿鼻叫喚だったといいます。
たくさんの子供が彼をいたみ嘆いたといいます。





さあ。
このお話の中で「うそつき」はだあれ?

この作品は11月22日に行われる「アナスタシス」ライブとやや連動しております。
そのうちウェブ上で種明かしは出すつもりですので気長にお待ちください。